国際経済に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- リカードは,保護貿易政策を理論的に擁護するために比較生産費説を提唱した。この考え方によると,A国とB国がそれぞれ,財1 と財2 を生産する場合,もしA国が両財共にB国よりも安く生産できるならば,両財共にA国が生産することが効率的となる。
- 一国の一定期間における対外経済取引の収支を示したものが国際収支であり,経常収支や金融収支などから成る。また,財貨・サービスの国際取引を示す貿易・サービス収支は経常収支に含まれる。
- 貿易収支は,輸出額から輸入額を引いて算定される。近年の我が国の貿易収支を暦年でみると,2010 年から2019 年まで黒字額が拡大傾向で推移した。一方,我が国のサービス収支についても,日本国外への旅行が増加したことに伴い,同期間では黒字が継続した。
- 外国為替市場の仕組みについてみると,例えば我が国の米国に対する貿易黒字が大きくなった場合,米国によるドルでの支払額が大きくなるため,為替市場でドル買い・円売りの圧力が大きくなり,ドル高・円安方向への動きが強くなる。
- 外国為替相場の状況についてみると,2000 年代以降,円高・ドル安傾向が強くなっていったが,2010 年代初頭の東日本大震災の直後には,未曾有の国難に伴う円売りの動きが強くなり,
一時1 ドル120 円となった。その後,再び円高傾向が強くなり,その傾向は2016 年頃まで続
いた。
正答 2
- 誤り。各国は比較優位のある財の生産に完全特化する。ある財に比較優位を持つということは他の財は比較劣位となる。A国が両財ともB国よりも安いからといって、両財に比較優位を持つということにはならない。
- 正しい。
- 誤り。2010年以降の貿易収支は赤字傾向。サービス収支は赤字である。
- 誤り。貿易黒字が大きくなる場合は、ドルの受け取りが増え、それを円に換えるため、ドル売り、円買いがすすむ。円高となる。
- 誤り。震災後は1ドル=80円程度、その後徐々に円安となっている。