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2021 国家一般職 基礎能力 No.30

  各国の領土問題等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. 歯舞群島,色丹島,国後島,択捉島から成る北方領土は日本の固有の領土であるが,日本のポツダム宣言受諾後,ソ連に占領された。1950 年代に署名された日ソ共同宣言では,平和条約締結後に歯舞群島と色丹島のソ連から日本への引渡しが約束されていた。しかし,ソ連崩壊後のロシアとの日露首脳会談は,2019 年に行われた大阪での会談を含めて何度も開催されているが,北方領土問題は解決しておらず,2020 年末現在,両国間では平和条約も締結されていない。
  2. カシミール地方は,インドとパキスタンがそれぞれ領有権を主張している地域であるが,両国の実効支配地域に停戦ラインが引かれている。しかし,カシミール地方のうち,パキスタンの実効支配地域は,中国も領有権を主張しており,2020 年には中国軍とパキスタン軍の間で交戦があった。この交戦で,中国軍はパキスタン軍をカシミール地方から排除したため,パキスタン軍に代わり中国軍がインド軍と直接対峙することになり,中国とインドの間の緊張が高まった。
  3. 中東のゴラン高原は,レバノン領であったが,第三次中東戦争でイスラエルが占領して以降,その帰属が両国間で懸案事項となっていた。しかし,2020 年にロシアの仲介で,レバノンがイスラエルと国交を結びエルサレムをイスラエルの首都と認定する代わりに,イスラエルがゴラン高原をレバノンに返還する基本合意がなされた。これに反対するISIL(イラク・レバントのイスラム国)が大規模な爆弾テロを起こし,レバノンの首都のベイルートが廃墟と化した。
  4. 南シナ海の島々は,中国,フィリピン,ベトナム,マレーシア,タイ,ミャンマーがそれぞれ実効支配しているが,その地域を越えて各国が領有権を主張し,領土問題が複雑化している。特に,中国は南シナ海ほぼ全域の領有権を主張しており,軍事演習等も頻繁に行っている。この動きに対抗するため,フィリピンは米国と共に,2019 年,浅瀬を埋め立てて人工島を作り,中国の動きを監視する「航行の自由作戦」を実施している。
  5. スコットランド地方の帰属をめぐっては,アイルランドは英国に対し領有権を主張していたが,
    両国がEU(欧州連合)の前身のEC(欧州共同体)に加盟したことで一応の解決をみた。しかし,
    2019 年の英国のEU 離脱決定で,今後,英国とアイルランドの間の自由な往来ができなくなる
    ことなどを理由に領土問題が再燃すると両国は交渉を開始し,2020 年末の英国のEU 離脱後も
    交渉を続行することとなった。
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正答 1

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公務員試験過去問研究
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