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2021年 国家一般職 ミクロ経済学 No.32

 第1期と第2期の2期間を生きる消費者の効用\(U\)が

\(U=C_{1}C_{2}\) (\(C_{1} \):第1期の消費額、\(C_{2}\):第2期の消費額)

で示されているとする。

 この消費者は、第1期に 300 の所得を得て、消費額\(C_{1}\)と貯蓄 \(S\) に振り分ける。また、第2期には 210 の所得を得て、この所得と貯蓄 \(S\) をもとに、消費額\(C_{2}\)を支出する。貯蓄 \(S\) につく利子率を\( r\) とすると、\(r=0.05\) である。この消費者は、効用 \(U\) が最大になるように、消費額\(C_{1}\)、\(C_{2}\)を決定する。

 いま、A と B の二つの場合を考える。
A:第1期にのみ 10%の消費税がかかる場合
B:第1期も第2期も消費税がかからない場合
このとき、A の貯蓄と B の貯蓄に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

  1. A の貯蓄の方が、B の貯蓄より 10 多い。
  2. A の貯蓄の方が、B の貯蓄より 25 多い。
  3. A の貯蓄の方が、B の貯蓄より 10 少ない。
  4. A の貯蓄の方が、B の貯蓄より 25 少ない。
  5. A の貯蓄と B の貯蓄は同額である。

正答 5

 計算をしなくても問題の構造から正答を選ぶことが可能ですが、少し整理してみましょう。

 計算をして最適消費額を求めます。。効用関数が、コブ=ダグラス型で示されるケースですから公式を使うと計算が楽になります。

 まず、予算制約式を作りましょう。第1期の貯蓄額\(S\)は、\(S=300-C_{1}\)で示されます。第2期にはこれに利子がつきますので\((1+r)(300-C_{1})\)が残ることになります。\(r=0.05\)であり、さらに、第2期には210の所得も得られるので、第2期の消費額は$$C_{2}=(1+0.05)(300-C_{1})+210$$ となります。

 これを整理して、$$1.05C_{1}+C_{2}=525$$ 公式より考えて、この消費者は第1期、第2期に\(\frac{525}{2}\)ずつ使うことが分かるので、第1期の消費額は\(1.05C_{1}=\frac{525}{2}\),より、\(C_{1}=250\)となります。この金額は、第1期の消費額(消費「量」ではない)を示しています。この金額は、消費税が課されても課されなくても変わりません。したがって第1期の貯蓄はAのケースも、Bのケースも\(300-250=50\)となります。

※第1期の消費額について消費税を含んだ消費「額」はAのケースでもBのケースでも変わりませんが、第1期の消費「量(数量)」については、課税され価格が実質的に上昇しているAのケースの方が少なくなります。

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