近年の各国の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。
- ベラルーシでは,四半世紀以上にわたり長期政権を築いているルカシェンコ大統領が勝利を収めた2020 年の大統領選挙の後に,各地で抗議デモが起こった。これを受け,我が国はベラルーシ当局に対し,民主主義の原則を確保することと暴力を行使しないことを求めた。また,2021年8 月には,東京2020 オリンピック競技大会のため来日したベラルーシ代表の選手が,同国当局からの圧力で本人の意思に反した帰国を迫られる事態も発生した。
- 中国では,いわゆる一人っ子政策が廃止され,2020 年以降は第3 子までの出産が認められている。一人っ子政策は2015 年末に緩和され,条件付きで第2 子までの出産が認められていたが,深刻な少子化にはいまだ歯止めがかかっていないことがその背景にある。一方,中国では高齢化も進みつつあるものの,そのスピードは世界水準よりも遅く,高齢者人口の割合は,2021年末現在においては世界平均を下回っている。
- ミャンマーでは,国軍が国民民主連盟(NLD)政権の幹部らを拘束し,国家権力を掌握したが,その直後,アウン・サン・スー・チー氏が亡命先である英国で亡命政権を樹立し,同軍への抵抗を続けている。同様に,ミャンマー市民も国軍への抗議デモを繰り返しているが,武力制圧を図る同軍との間で内戦状態となっている。これを受け,2021 年4 月に開催されたG20 首脳会合では,暴力の即時停止を含めた五つの項目が合意された。
- 2021 年7 月,ベネズエラでは巨大地震が起こり,多数の死者・行方不明者が出た。救助活動が遅れたことに,かねてより問題になっていた政治の腐敗への不満が重なり,同国のモイーズ大統領は同年8 月に暗殺された。国民は困窮を極め,主に他の中南米諸国に移民希望者として押し寄せたが,米国のバイデン大統領は人道的な理由からいち早く移民希望者の受入れを発表し,国内外より多くの賞賛を浴びた。
- 2021 年9 月,我が国は,米国,オーストラリア,インド,シンガポール,韓国との間で首脳会合を行い,インド太平洋地域の安全と繁栄のため,「インド太平洋における協力のための戦略」の実現に向け取り組んでいくことを再確認した。これは,中国が進める経済圏構想「一帯一路」に対し,アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じて,インド太平洋地域の途上国における質の高いインフラ構想の実現を目指すものである。
正答 1