法の下の平等に関するア~エの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.憲法第14 条第1 項は,すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない旨規定しているが,同項後段に列挙された事項は例示的なものであるとするのが判例である。また,同項後段にいう「信条」とは,宗教上の信仰にとどまらず,広く思想上や政治上の主義を含むと一般に解されている。
イ.租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は,その立法目的が正当なものであり,かつ,当該立法において具体的に採用された区別の態様が当該目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,憲法第14 条第1 項に違反するものではないが,給与所得の金額の計算につき必要経費の実額控除を認めない所得税法の規定(当時)は,事業所得者等に比べて給与所得者に著しく不公平な税負担を課すものであり,その区別の態様が著しく不合理であるから,同項に違反するとするのが判例である。
ウ.憲法第14 条の規定は専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり,私人相互の関係を直接規律することを予定するものではなく,私人間の関係においては,各人の有する自由と平等の権利が対立する場合の調整は,原則として私的自治に委ねられるのであって,企業者が特定の思想,信条を有する者をそのことを理由に雇入れを拒んでも,それを当然に違法とすることはできないとするのが判例である。
エ.参議院議員の選挙において,公職選挙法上,都道府県を単位として各選挙区の議員定数が配分されているために,人口変動の結果,選挙区間における投票価値の不均衡が生じていることについて,国会が具体的な選挙制度の仕組みを決定するに当たり,都道府県の意義や実体等を要素として踏まえた選挙制度を構築することは,国会の合理的な裁量を超えるものであり,同法の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法第14 条第1 項に違反するとするのが判例である。
1.ア,イ
2.ア,ウ
3.イ,ウ
4.イ,エ
5.ウ,エ
正答 2