スポンサーリンク

2022 国家一般職 マクロ経済学 No.40

 ソローモデルの枠組みで考える。\(t\) 期の産出量を\(Y_{t}\),資本ストックを\(K_{t}\),労働人口を\(L_{t}\) とすると,マクロ的生産関数が以下のように示される。
 \(Y_{t}=0.2K_{t}^{\frac{1}{2}}L_{t}^{\frac{1}{2}}\) 
また,労働人口は\(0.05\) の成長率で増加する。一方,資本ストックは\(t\) 期の投資を\(I_{t}\) とすると,以下のように示される。
 \(K_{t+1} = K_{t} +I_{t}\)
なお,資本減耗率はゼロとする。いま,貯蓄率を\(s\) とすると,\(t \)期の投資\(I_{t}\) は以下のように示される。
 \(I_{t}=sY_{t}\)   \((s>0)\)
また,\(t\) 期の消費\(C_{t}\) は以下のように示される。
 \(C_{t}=(1 -s)Y_{t}\)
このとき,定常状態の労働人口1 人当たりの消費を最大にする貯蓄率\(s\) の値はいくらか。

1. 0.05
2. 0.1
3. 0.2
4. 0.5
5. 0.8

正答 4

ソローモデルの資本ストックの成長率は、一人当たり産出を\(y=\frac{Y}{L}\)、一人当たり資本ストック\(k=\frac{K}{L}\)とすると
\(\frac{ΔK}{K}=\frac{sy}{k}-δ\)
で示される。(本問では\(δ=0\)である。)
一方、自然成長率を\(G_{n}\)とし、\(\frac{ΔL}{L}=n\)とすると
\(G_{n}=n+λ\)   (\(λ\)は技術進歩率、本問では考慮されていない)

定常状態では、資本ストックの成長率と、自然成長率が等しくなるので
\(\frac{sy}{k}-δ=n+λ\)
\(sy=(n+λ+δ)k\)
本問では、\(δ\)、\(λ\)は考えない、つまりゼロとみなすので
\(sy=nk\)

 この時、このとき、定常状態における一人当たり資本ストック\(k\)は次のように決まり、一人当たり消費は図で示した部分となる。

この図において、一人当たり消費が最大になるのは、\(y\)と\(nk\)の傾きが等しくなる水準で、一人当たり資本ストックが決まる時である。(次図の\(k^*\))

したがって、\(sy\)と\(nk\)が\(k^*\)の水準で交わるようにsを定めればよい。(次図の\(s’\))

まず、\(k^{**}\)の水準を求めるために、\(y\)の傾き、つまり資本の限界生産力を求める。
\(y=\frac{Y}{L}=\left(0.2\frac{K}{L}\right)^{\frac{1}{2}}=0.2k^{\frac{1}{2}}\)
傾きを求めるために、\(y\)を\(k\)で微分すると
\(\frac{dy}{dk}=0.1k^{-\frac{1}{2}}\)

これが\(nk\)の傾き\(n\)に等しいところで\(k^{**}\)は決まるので、
\(0.1k^{-\frac{1}{2}}=n\)
\(n=0.05\)より
\(k=4\)

\(nk=s’y\) より
\(0.05×4=s’0.2×4^{\frac{1}{2}}\)
\(s’=0.5\)

したがって正答は4である。

スポンサーリンク
島本昌和をフォローする
スポンサーリンク
公務員試験過去問研究
タイトルとURLをコピーしました