市民革命期以降の政治思想に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
- 功利主義の立場に立つJ.ベンサムは,人々が快楽(幸福)を求め苦痛(不幸)を回避するという
原理で行動する存在であるという前提の下,快楽(幸福)を増大するものが善であるという立場に
立っており,「最大多数の最大幸福」を実現することが統治の目的であるとした。 - T.グリーンの主張は,「古典的自由主義」と呼ばれ,必ずしも外的拘束や制約が存在しないことが自由ではないとした上で,自由主義の完成のためには,人格の成長ではなく経済的成長を妨げる障害を国家が排除すべきであるとした。
- J.ロールズは,全ての人は平等に,最大限の基本的自由を持つべきであり,ある人間の基本的自由を制約することは,社会・経済的不平等の解消が必要な場合にのみ許容されるとし,他者の基本的自由を擁護するために自由を制約することは許されないとした。
- リバタリアニズムの論者であるF.ハイエクは,「計画主義的思考」を持ち,市場は,それ自体が一定の規則性をもって機能する「自生的秩序」を有するものではないため,市場の失敗を意図的にコントロールする試みは有益であると主張した。
- G.ヘーゲルは,国家の全体秩序を「市場」,「市民社会」,「国家」の三つに分けた上で,市民社会を「欲求の体系」,「司法活動」,「職能団体」の三つから成るものとし,市民社会における個人の自由を否定した。
正答 1