利益団体に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
- D.トルーマンは,工業化や都市化といった社会的分化が利益と価値の分断を生み,団体の活動を一般に弱めていると主張した。また彼は,社会変動に伴って既存の社会勢力間の均衡が崩れるとき,優位に立つ社会集団の側が,その地位を利用して組織化や圧力活動を強め,一層有利になると考えた。
- M.オルソンは,個人が合理的に行動することを前提にする合理的選択論の立場から,団体形成の自動性を否定した。彼によると,大規模な利益団体が形成されるためには,人々の間に共通の利益があるだけでは不十分で,加入者に選択的誘因を与えるなどにより,集合行為問題が解決される必要がある。
- 「政治的企業家」とは,団体の創設時に,他の構成員に多くの負担を引き受けさせることのできる,強いリーダーシップを持った人を指す。政治的企業家自身は,団体形成のためのコストを負担しない一方,社会的な知名度や地位を求めるわけではないため,構成員からの自発的な協力を引き出せると考えられる。
- 我が国では,第二次世界大戦後,一貫して労働組合の組織率が高く,単一のナショナル・センターによって労働運動が統合されてきた。また,1980 年代までは,労働団体は政府や経営者団体と緊密に連携し,良好な賃金水準と低失業率を達成してきた。そのため,我が国の政治経済体制は「労働中心のコーポラティズム」と呼ばれる。
- 我が国の政治資金規正法の規定によると,政治団体を除く会社・労働組合等の団体は,一定金額の範囲内でのみ,公職の候補者に直接寄附することができる。会社・労働組合等の団体は,政党に対しては無制限に寄附することができる一方,寄附金額を年度ごとに総務大臣に報告する義務がある。
正答 2