集団の中の個人に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
- 他者が見物人又は観察者として近くにいるときに作業のパフォーマンスが上がる現象を社会的促進といい,難しい作業を行う場合は,特にパフォーマンスが向上する。こうした他者の存在によるパフォーマンスの変化は,同じ作業を行う者がいるときは起こらないとされる。
- 他者が一緒に作業をしたり,近くにいたりすることにより,作業のパフォーマンスが下がる現象を社会的抑制といい,簡単な作業を行う場合は,特にパフォーマンスが低下する。他方,人が倒れるなどの緊急時では,多くの人がいても援助行動は抑制されない。これを傍観者効果という。
- 集団成員の行動や思考の準拠枠のことを流行といい,流行の普及要因を説明する理論は社会的インパクト理論という。この理論では,流行は,当事者にとっての問題の重要性と状況の曖昧さの積に比例するとされている。
- 個々人の行動や信念が所属集団の基準に一致する方向へと変化する現象を同調という。S.E.アッシュは,線分の長さを比較判断するという一人で行う場合はほとんど誤らないような簡単な課題であっても,実験参加者は,周囲の人が皆誤った判断を示すと,その判断に影響され得ることを実験から示した。
- 集団のヒエラルキー構造の上位にいる者の明示されない真意を推し量り,それに従う行動を服従という。S.ミルグラムは,人間に電気ショックを与えるという危険な課題であっても,実験参加者は,上位者の指示なく,自発的に危険な電圧の電気ショックを与えてしまい得ることを実験から示した。
正答 4