社会集団についての学説に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
- J.オルテガ・イ・ガセットは,『聖なる天蓋』において,群衆の非合理性を説いた。特に,祝祭などの儀礼を行う聖の時空間に人々が集合することで発生する非日常的な興奮状態に着目し,これを集合沸騰と呼んだ。
- G.ル・ボンは,『群衆心理』において,暗示により扇動され不善をなすような存在という,それまでの群衆のイメージを否定して,その合理性を説き,行為者の合理的な行為が集積した結果として社会現象を説明した。
- G.タルドは,『世論と群衆』において,公衆を,個人が同一空間に集合することで成立する一時的な現象と捉えた。個人間の相互作用を必要とする群衆に対し,公衆は相互作用を必要としないため,暗示や模倣が生じず,精神的集合体になりにくいとした。
- W.コーンハウザーは,『大衆社会の政治』において,大衆社会論を貴族主義的批判と民主主義的批判に分類した。さらに,エリートへの接近可能性と非エリートの操縦可能性という二つの変数の高低により社会類型を区分し,前者が高く後者が低い社会を多元的社会とした。
- D.リースマンは,『孤独な群衆』において,社会の発展に伴い,社会的性格が,「伝統指向型」から,慣習と儀礼の体系に従う「他人指向型」を経て,内集団に準拠する「内部指向型」へと発展すると論じた。
正答 4