近年の交通機関や探査機等をめぐる動きに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 超電導リニアは,磁気力によって車両を浮上させ,高速で走行する。我が国では,リニア中央新幹線が計画され,現在,品川・名古屋間で建設工事中である。しかし,活火山が連なる中央アルプス(木曽山脈)のトンネル工事に対して,防災面の懸念から,中央アルプスの東側の静岡県はルートの変更を,西側の岐阜県は大深度地下のトンネルへの変更をそれぞれ提案した。2021 年末現在,この区間の建設工事は中断され,国土交通省が解決に向け協議を進めている。
- 人間の活動から発生する排出物を限りなくゼロにすることを目指しつつ最大限の資源活用を図り,持続可能な経済活動を展開するという理念はゼロエミッションといわれる。また,走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車や,水素を燃料とする燃料電池自動車などは,ゼロエミッション車と呼ばれる。欧州連合(EU)では,将来的に新車販売は,ハイブリッド車を含む内燃機関車については禁止し,ゼロエミッション車に限定する方針が示されている。
- 欧米では,旅客機として初めて音速を超える速度で成層圏を飛行できる,次世代飛行機が開発され,世界各都市間のネットワークの形成が期待されている。成層圏では空気抵抗が少なく航空機にかかる揚力も小さいことから,機体の軽量化を行う必要がない。高出力に改造した従前のジェットエンジンと,成層圏でも爆発事故を引き起こしにくいヘリウムを燃料とするエンジン燃焼器を併用する方向で,我が国の企業も参画し,米国を中心として新たに開発が進められている。
- 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船の「ちきゅう」は,日本最南端に位置する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)の海底に,リチウムやチタンなどのレアアース(希土類元素)が大量に存在していることを発見し,経済産業省を中心に商業化の検討が進められている。南鳥島周辺はマリアナ海溝の北端の西側に位置し,水深が深く従来の調査船では探査が難しかったが,有人での迅速・的確な探査が鉱脈を発見することにつながった。
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機の「はやぶさ2 」は,小惑星のイトカワの岩石を採取後,地球へ向けて進路を取り,地球上空の国際宇宙ステーション(ISS)にて岩石のサンプルを受け渡した。「はやぶさ2 」は地球に帰還することなく,火星の衛星の探査のため,再び地球を離れた。2021 年末現在,「はやぶさ2 」は太陽電池を主電源とし,スイングバイ航行を利用して,火星へ向けて航行している。
正答 2