市場が分断されているA国とB国に同一の製品を供給する独占企業を考える。この企業は,両国から得られる利潤の合計を最大化するように行動する。また,独占企業の供給量をy で表すと,独占企業の費用C,この製品に対するA国での需要\(D_{A}\),B国での需要\(D_{B}\) はそれぞれ以下の関数で示される。
\(C = 20y+ 100\)
\(D_{A}= 120- P_{A}\)
\(D_{B} =80 -P_{B}\)
ここで,\(P_{A}\) はこの製品のA国での価格,\(P_{B}\) はこの製品のB国での価格を示している。
独占企業が各国において自由に価格設定できる場合の,この企業の総利潤はいくらか。
なお,関税や輸送費等は考えないものとする。
1. 3000
2. 3100
3. 3200
4. 3300
5. 3400
正答 4
この企業の限界費用MCは、費用関数より\(MC=20\)である。
A国におけるこの財の価格は、需要関数より\(P_{A}=-D_{A}+120\)
需要曲線が直線で示されるとき限界収入\(MR_{A}\)は需要曲線の傾きが2倍の直線で示されるので
\(MR_{A}=-2D_{A}+120\)
利潤最大化条件より、企業は\(MR_{A}=MC\)となるところで、供給量を決めるので、
\(-2D_{A}+120=20\)
\(D_{A}=50\)
この時の価格は、需要曲線に代入して\(P_{A}=70\)
したがって、A国での収入は\(70×50=3500\)
同様に考えて、B国の限界収入は、\(MR_{B}=-2D_{B}+80\)であるから、
\(-2D_{B}+80=20\)より
\(D_{B}=30\)
この時の価格は、\(50\)となる。
従ってB国での収入は\(30×50=1500\)
A国、B国への供給量の合計が\(50+30=80\)なので、この企業の費用は、
\(C=20×80+100=1700\)
したがって、この企業の利潤は\(3500+1500-1700=3300\)となる。