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2022 国税専門官 経済学 No.25

フィリップス曲線及び自然失業率仮説に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
 ただし,フィリップス曲線,総供給曲線は,それぞれ,縦軸に物価上昇率,物価水準をとるものとする。

  1. フィリップス曲線は,物価上昇率と失業率との間の正の相関関係を示す右上がりの曲線であり,1970 年代のアメリカ合衆国のスタグフレーションの状況を説明するために導かれたものである。
  2. 1990 年代後半の我が国においては,1970 年代,1980 年代と比べて,高い物価上昇率の下で,傾きの急なフィリップス曲線が観測されている。
  3. 短期フィリップス曲線と総供給曲線の関係についてみると,供給量の減少により総供給曲線が左方にシフトした場合,短期フィリップス曲線は右方にシフトする。
  4. M.フリードマンは,自然失業率について,産業構造の変化などの経済の構造的・制度的要因ではなく,貨幣的要因に依存してその水準が決定されるものであるとした。
  5. 自然失業率仮説によると,貨幣錯覚が修正された後の長期フィリップス曲線は垂直となり,このとき,中央銀行の金融緩和政策には,自然失業率を下げる効果があるとされている。
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正答 3

  1. 誤り。もともとのフィリップス曲線は名目賃金上昇率・物価上昇率と失業率の間の負の相関関係を示す、右下がりの曲線である。またフィリップスは、1861~1957年のイギリスのデータと用いてこの関係を実証した。このフィリップス曲線を用いて、スタグフレーションの発生を説明したのは、フリードマンである。
  2. 誤り。我が国では失業率が下がっても、余りインフレ率は上昇しなくなってきているので、フィリップス曲線はなだらかになっている。
  3. 正しい。総供給曲線が左にシフトしているときは、産出が減少、つまり労働供給が減少しているといえるので、失業率の増大、つまり短期フィリップス曲線は右にシフトしているといえる。
  4. 誤り。自然失業率は需要不足ではなく、制度的、構造的要因によってその水準がきまり、貨幣的要因できまるのではない。
  5. 誤り。自然失業率の水準で貨幣錯覚が解けているのは、その通りであるが、自然失業率の水準は有効需要によって決まるわけではないので、金融政策でその水準を変えることはできない。
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公務員試験過去問研究
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