職業の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、最も妥当なのはどれか。
- 公衆浴場法による公衆浴場の適正配置規制について、公衆浴場の偏在により、多数の国民が日常容易に公衆浴場を利用しようとする場合に不便を来し、また、その濫立により、浴場経営に無用の競争を生じ、浴場の衛生設備の低下等好ましくない影響を来すというのは、単なる観念上の想定にすぎず、確実な根拠に基づく合理的な判断とは認めがたいため、当該規制は、その必要性と合理性を肯定するに足りず、憲法第22 条第1 項に違反する。
- 一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性に鑑み、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務付ける等の強い規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定を図る措置がとられる場合がある。薬局等の適正配置規制は、医薬品の供給の適正化措置として強力な規制を施す代わりに、既存の薬局等にある程度の独占的地位を与えるのが主たる趣旨、立法目的である。
- 薬局等の適正配置規制について、予防的措置として職業の自由に対する大きな制約である薬局の開設等の地域的制限が憲法上是認されるためには、国民の保健上の必要性がないとはいえないというだけでは足りず、このような制限を施さなければ当該措置による職業の自由の制約と均衡を失しない程度において国民の保健に対する危険を生じさせるおそれのあることが、合理的に認められることを必要とする。
- 租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業選択の自由そのものに制約を課するものであり、職業の自由に対する強力な制限であるから、より制限的でない他の選び得る規制手段が存在するかを具体的・実質的に審査し、それがあり得ると解される場合には違憲となる。
- 酒税の確実な賦課徴収のための酒類販売業免許制度について、制度採用当初は、その必要性と合理性があったというべきであるが、その後の社会状況の変化と租税法体系の変遷に伴い、酒税の国税全体に占める割合等が相対的に低下するに至った時点においては、同制度を存置しておくことの必要性と合理性は失われたため、当該時点以降、同制度を定める規定は憲法第22 条第1項に違反する。
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正答 3