ある財の市場における家計、企業及び政府の三つの経済主体を考える。完全競争の仮定の下で、政府により、納税義務者を企業として従量税が課された場合に関するA~Dの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
A.供給曲線が右上がり、需要曲線が右下がりの形状であるとき、課税による消費者余剰の減少分と生産者余剰の減少分の合計は、政府の税収を上回っている。
B.供給曲線が右上がり、需要曲線が右下がりの形状であるとき、課税後の消費者余剰と生産者余剰の合計は、政府の税収を上回っている。
C.供給の価格弾力性が無限大であり、また、需要曲線が右下がりの形状であるとき、課税後に家計が直面する価格は上昇するとともに、租税負担は全て家計が負う。
D.需要の価格弾力性がゼロであり、また、供給曲線が右上がりの形状であるとき、課税後に家計が直面する価格は上昇するものの、租税負担は全て企業が負う。
1.A、C
2.A、D
3.B、C
4.B、D
5.C、D
正答 1
A 正しい。課税により総余剰が減少するので、消費者余剰と生産者余剰の減少分が政府税収を上回ることになる。政府の余剰(税収)の増加よりも、消費者と生産者の余剰の減少の方が多いのであるからトータルでは余剰は減少していることになる。
B 誤り。そのような場合もあるが、必ずしもそうはならない。
C 正しい。供給曲線が水平となるケースである。この場合、家計の支払う価格は課税額と同じ額だけ値上がりする。一方、企業の受け取る価格は変化しない。したがって、全て家計の負担である。
D 誤り。需要曲線が垂直なケースである。この場合も、家計が支払う価格は課税額と同じだけ値上がりする。一方、企業の受け取る価格は変化しない。したがって、全て家計の負担である。