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2024 国家総合職 経済区分 No.6

公共財と私的財の2 種類の財を消費する2 人の消費者A、Bを考える。消費者i(\(i\)=A,B)の効用関数ui は以下のように与えられる。
\(u_i =2θ_i\sqrt{G} +x_{i}\)
ここで、\(G(≧ 0)\)は2 人に共通の公共財の消費量、\(\overline{x_i}(≧0)\)は消費者i の私的財の消費量であり、パラメータ\(θ_i(>0)\)は消費者i の私的情報とする。また、消費者\(i\) の私的財の初期保有を\(\overline{x_i}\) とする。
ただし、\(\overline{x_i}\) は十分に大きいものとする。また、1 単位の私的財から公共財を1 単位生産することができるものとする。
ここで、次のメカニズムを考える。まず、各消費者に自分のパラメータを申告させる。ただし、各消費者は正直に申告するとは限らない。次に、消費者Aが\(\hat{θ_A}(A>0)\)を申告し、消費者Bが\(\hat{θ_B}(>0)\)を申告した場合には、各消費者はそれぞれ、
\(\left(\hat{θ_A}\right)^{2}+\left(\hat{θ_B}\right)^2\)

だけの私的財を公共財の生産のために提供し(公共財の生産に必要なもの以上の私的財を提供することもあり得る。)、

\(G\left(\hat{θ_A},\hat{θ_B}\right)=\left(\hat{θ_A}-\hat{θ_B}\right)^2\)
だけの公共財が生産される。
2 人が提供する私的財の合計から公共財の生産量を引くと、

\(2\left(\left(\hat{θ_A}\right)^2+\left(\hat{θ_B}\right)^2\right)-\left(\hat{θ_A}+\hat{θ_B}\right)^2=\left(\hat{θ_A}-\hat{θ_B}\right)^2≧0\)

となるので、2 人が提供した私的財で公共財の生産を賄うことができる。また、提供された私的財のうち、公共財の生産に使われなかった私的財は廃棄されると仮定する。このとき、消費者\(i\) は、\(\left(\hat{θ_A}+\hat{θ_B}\right)^2 \)単位の公共財と\(\overline{x_i}-\left(\hat{θ_A}\right)^2-\left(\hat{θ_B}\right)^2\)単位の私的財を消費することになる。

 このメカニズムの下では、他の消費者の申告に関係なく、自分の真のパラメータを正直に申告す
ることが最適な選択となる。自分のパラメータを過少に申告するのが望ましくないことは、消費者
Bの任意の申告\(\hat{θ_B}\) を所与として、消費者Aが真のパラメータ\(\hat{θ_A}\) よりも\(ε(>0)\)だけ小さい値\(\hat{θ_A}=θ_{A}-ε>0\) を申告した場合の消費者Aの効用から、消費者Aが真のパラメータ\(θ_A\) を申告した場合の消費者Aの効用を引いたときの差を計算することによって確認することができる。この差として最も妥当なのはどれか。

1 \(-ε^2\)
2 \(-2ε^2\)
3 \(-εθ_A\)
4 \(-ε\hat{θ_B}\)
5 \(-ε(θ_A+\hat{θ_B})\)

正答 1

消費者Aが、嘘のパラメーター\(\hat{θ_A}\)を申告した場合の、効用は
\(u_{A}=2θ_A\sqrt{(\hat{θ_A}+\hat{θ_B})^2}+\overline{x_A}-\left(\hat{θ_A}\right)^2-\left(\hat{θ_B}\right)^2\)
\(u_{A}=2θ_A\left(\hat{θ_A}+\hat{θ_B}\right)+\overline{x_A}-\left(\hat{θ_A}\right)^2-\left(\hat{θ_B}\right)^2\) ・・・・①

次に真のパレメーターを申告した場合の効用をもとめる。
真のパラメーターを申告した場合は、\(\hat{θ_A}=θ_A\)となるから

\(u_{A}=2θ_A\sqrt{(θ_{A}+\hat{θ_B})^2}+\overline{x_A}-\left(θ_A\right)^2-\left(\hat{θ_B}\right)^2\)
\(u_{A}=2θ_A\left(θ_A+\hat{θ_B}\right)+\overline{x_A}-\left(θ_A\right)^2-\left(\hat{θ_B}\right)^2\) ・・・②

①式から②式を引くと
\(2θ_A\hat{θ_A}-2\left(θ_A\right)^2-\left(\hat{θ_{A}}\right)^2+(θ_A)^2\)
=\(-(θ_A)^2+2θ_{A}\hat{θ_A}-\left(θ_A\right)^2\)
=\(-\left(θ_{A}-\hat{θ_A}\right)^2\)
=\(-ε^2\)


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公務員試験過去問研究
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