ある消費者は、所得の全てをT=1,2 の2 期間で支出し、その効用関数は以下のように与えられる。
\(U(C_{1},C_{2})= u(C_{1})+\frac{1}{1+ρ}u(C_{2})\)
ここで、\(U\) は2 期間を合わせた効用水準であり、各期の効用の和で表されている。各期の効用関数uについて、消費の限界効用は正で、限界効用は逓減するものとする。また、\(C_{1}(>0)\)は \(T=1\)における財の消費量、\(C_{2}(>0)\)は\(T =2\) における財の消費量、\(ρ(>0)\)は主観的割引率を示す。消費財の種類は1 種類で、両期間を通じてその価格は1 であるとする。なお、各期の消費財は上級財であるとする。
この消費者は、\(T= 1\) において\(Y_{1}\) の所得を得ることができるが、\(T=2\) において所得はゼロであり、\(T=1\) における所得の一部を貯蓄してT=2 における消費に充て、効用を最大化するものとする。また、貯蓄は、利子率\(r(>0)\)で運用されるものとする。
いま、他の条件が一定の下で利子率r が上昇したとする。このときの\(C_{1}\) 及び\(C_{2}\) の変化の組合せとして最も妥当なのはどれか。
\(C_{1}\) \( C_{2}\)
1.必ず減少する。 必ず減少する。
2.必ず減少する。 増加も減少もあり得る。
3.増加も減少もあり得る。 増加も減少もあり得る。
4.増加も減少もあり得る。 必ず増加する。
5.必ず増加する。 必ず増加する。
正答 4
利子率の上昇は、代替効果では今期の消費を減らし、来期の消費を増やす。
所得効果については、貯蓄をする人なのか、借り入れをする人なのかによって異なる。
この問題では、貯蓄をする人なので、利子率の上昇は実質所得の増加につながる。つまり、所得効果は、今期来期とも消費を増やすことになる。
したがって、今期の消費は、代替効果では消費を減らし、所得効果では消費を増やすことになるので、全体としては不明である。来期の消費は、代替効果でも所得効果でも消費を増やすので、増加することになる。