労働を供給することで得た賃金を全て使って1 種類の財を消費する消費者(労働者)を考える。この消費者の効用関数は以下のように与えられる。
\(u(c,l)=-l-e^{-c}\)
ここで、\(c(≧0)\)は財の消費量、\(l(≧0)\)は労働の供給量である。また、\(e\) は自然対数の底である。
財の価格を1 とし、時間当たりの賃金を\(w(≧1)\)とすると、この消費者の予算制約式は
\(c =wl\)
である。
よって、この消費者の労働供給関数を求めるためには、効用関数に予算制約式を代入して得られる\(l\) の関数
\(f(l)=u(wl,l)=-l-e^{-wl}\)
を\(l\) について最大化すればよい。
このとき、以下の文章のA 及びB に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
・この消費者の労働供給関数は( A ) であり、労働供給量\(l\) は\(w\) について、\(w<\)( B )では単調増加となり、\(w>\)( B ) では単調減少となる。
なお、指数関数の微分は、\(\left(e^{-ax}\right)’=-ae^{-ax}\) ( a は定数)、自然対数の微分は、 \(\left( log_{e}x\right)’=\frac{1}{x}\), \(f(x), g(x)\)について、その商の微分は,\(\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)’=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\left(g(x)\right)^2}\)となることを用いてもよい。
A B
1 \(l=\frac{log_{e}w}{w} \) \(e\)
2 \(l=\frac{log_{e}w}{w} \) \(e^{2}\)
3 \(l=\frac{1+log_{e}w}{w}\) 2
4 \(l=\frac{1+log_{e}w}{w}\) \(e-1\)
5 \(l=\frac{1-log_{e}w}{w^{2}}\) \(e\)
正答 1
\(f(l)=u(wl,l)=-l-e^{-wl}\)を\(l\)について微分して0とおくと
\(-1+we^{-wl}=0\)
\(e^{-wl}=\frac{1}{w}\)
\(e^{wl}=w\)
\(log_{e}w=wl\)
\(l=\frac{log_{e}w}{w}\) 労働の供給関数
供給関数の導関数を求めると
\(\frac{dl}{dw}=\frac{\frac{1}{w}×w-log_{e}w}{w^{2}}=\frac{1-log_{e}w}{w^{2}}\)
\(w<e\)であれば、プラス、\(w>e\)であればマイナスとなる。