スポンサーリンク

2024 国家総合職 経済区分 No.7

 ある企業が労働者を1 人だけ雇用しており、企業の売上げは、労働者が努力するかどうかに依存している。労働者が努力する場合は、企業の売上げは確率0.5 で\(y_G\)、確率0.5 で\(y_B\)となる。労働者が努力しない場合には、企業の売上げは確率1 で\(y_B\) となる。ただし、\(0<y_B<y_G\)とする。また、努力する場合、労働者が負担するコストは\(c(>20)\)で、努力しない場合、そのコストはゼロとする。
労働者の効用は以下のように与えられ、労働者は期待効用を最大化するように行動する。
\(u=\left\{\begin{align}
&\sqrt{w}-c   努力する場合\\
&\sqrt{w}   努力しない場合
\end{align}
\right.\)

ここで、u は効用で、w は報酬である。
労働者は、この企業で働いたときの期待効用が\(\overline{u}(>0)\)を下回る場合には、この企業で働かず、そのときの企業の売上げはゼロとなる。雇用主は労働者が努力するかどうかは観察できないが、企業の売上げは観察できる。企業の売上げが\(y_G\) のときの労働者の報酬を\(w_G\)、売上げが\(y_B\) のときの報酬を\(w_B\) とすると、労働者がこの企業で働き、かつ努力するための条件は以下の二つの式で与えられる。
\(0.5\sqrt{w_G} +0.5\sqrt{w_B}-c≧\sqrt{w_B}\)    ⑴
\(0.5\sqrt{w_G} +0.5\sqrt{w_B}-c≧u \)      ⑵
雇用主は、⑴と⑵の制約の下で\(w_G\),\(w_B\) を選び、企業の期待利潤
\(0.5(y_G- w_G)+0.5(y_B-w_B)\)
を最大にすることを考えている。ここで、\(U_G= \sqrt{w_G}\) 、\(U_B=\sqrt{w_B}\) とおくと、⑴と⑵はそれぞれ、
\(0.5(U_G -U_B)≧c\)   (1′)
\(0.5(U_G +U_B)≧\overline{u} +c\)   (2′)   
と書き直せるので、雇用主はとの制約の下で、企業の期待利潤
\(0.5(y_G-(U_G)^2)+0.5(y_B-(U_B)^2)\)
の最大化、すなわち
\((U_G)^2 +(U_B)^2\)   (※)   
の最小化を\(U_G\),\(U_B\) について行えばよいことになる。
このとき、雇用主が選ぶべき報酬の組合せ\((w_G,w_B)\)として最も妥当なのはどれか。

なお、(1′)(2′)と(※)の制約式の境界線及びを定数としたものは図のように表される。

1 \((w_G,w_B)=((\overline{u}+2c)^2,\overline{u}^2)\)
2 \((w_G,w_B)=((\overline{u}+c)^2,\overline{u}^2)\)
3 \((w_G,w_B)=(0.5y_G,0.5y_B)\)
4 \((w_G,w_B)=(0.5y_G+(\overline{u}+2c)^2,0.5y_B+\overline{u}^2\)
5 \((w_G,w_B)=(0.5y_G+(\overline{u}+c)^2,0.5y_B+\overline{u}^2)\)

正答 1

(1′)式より\(U_{B}≦U_{G}-2c\)
(2′)式より\(U_{B}≧-U_G+2(\overline{u}+c)\)

であるから、この両者を満たす範囲は次の斜線部分である。

この範囲を満たして、(\(U_G)^2 +(U_B)^2\)の最小をもたらす\(U_B,U_G\)は次のe点となる。

したがって、求める解は\(0.5(U_G-U_B)=c\)と\(0.5(U_G+U_B)=\overline{u}+c\)の連立方程式を解くことで得られる。
連立方程式を解くと、\(U_G=\overline{u}+2c\), \(U_B=\overline{u}\)
両辺を2乗して、\(w_{G}=(\overline{u}+2c)^2\), \(w_B=\overline{u}^2\)



スポンサーリンク
島本昌和をフォローする
スポンサーリンク
公務員試験過去問研究
タイトルとURLをコピーしました