技術や研究をめぐる近年の動きなどに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- 令和6(2024)年8 月、文部科学省は、近年の自然科学分野の論文について、他の論文に引用された回数が上位に入った論文数を国別等に調査したところ、中国が世界1 位、米国が2 位となり、日本は前回調査の6 位から順位を上げて3 位となったことを公表した。研究に力を入れる中国の工業化についてみると、1970 年代以降、華中・華南の内陸部に経済特区や経済技術開発区が設けられ、外国企業の誘致が進められた。一方、沿海部は開発が遅れて内陸部との間の経済格差が拡大したため、これを解消すべく、2000 年代に東部大開発が行われた。
- 令和6(2024)年11 月、経済産業省は、「次世代型太陽電池戦略」において、2040 年までに、既存の太陽電池を全て「曲げられる太陽電池」とも呼ばれる「ペロブスカイト太陽電池」に切り替えることを発表した。同電池は、加工性や耐久性に優れ、建物の壁面など様々な箇所に設置できる。一方、従来型の太陽電池と比べ、快晴でないと発電効率が悪く、重量があるため、普及に向けて改良が進められている。なお、同電池の主要な原材料はヨウ素であり、ヨウ素は、ヘリウムと同じく、貴ガス(希ガス)に属する元素でイオンになりやすい。
- 令和6(2024)年6 月、文部科学省は、スーパーコンピュータ「富岳」の後継機の計算基盤を、従来のコンピュータから次世代コンピュータである量子コンピュータへ転換する方針を発表した。「富岳」の後継機は、計算能力を富岳の1,000 万倍以上に高めることとし、2030 年頃の運用開始を目指している。コンピュータを構成する物理的な装置をハードウェアといい、ハードウェアは、演算装置と記憶装置が組み込まれたCPU や、ハードディスクなどの制御装置が組み込まれたオペレーティングシステム(OS)などから構成されている。
- 令和6(2024)年11 月、我が国の政府は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を決定した。この中で、人工知能(AI)及び半導体分野については、令和12(2030)年度までに10 兆円以上の公的支援を行うなど、先端・次世代半導体の国内生産拠点の整備や研究開発支援を実施することとされた。なお、半導体の材料に用いられるケイ素は、酸素とともに、地殻を構成する主な元素であり、地殻の主な化学組成としては二酸化ケイ素が挙げられる。
- 令和7(2025)年2 月、我が国の政府は、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、新たな感染症への対応や新薬の開発力を強化するための「健康・医療戦略」を決定した。この中で、十分な薬の在庫があるにもかかわらず高額の特許料が原因で多くの人が新薬を使用することができない「ドラッグ・ロス」の解消に向けて、高額療養費制度を見直し、患者の自己負担の上限額を引き下げることとされた。なお、感染症対策については、あらかじめ他の動物につくらせた抗原を含む血清を注射する予防接種などがある。
正答 4
- 誤り。経済特区が設置されたのは沿海部(深圳、珠海、厦門など)。1978年以降の改革開放では、まず沿海部を優先的に開発した。2000年から始まったのは西部大開発であり、「東部大開発」ではない。
- 誤り。ペロブスカイト太陽電池は軽量で曲げられることが特徴である。「重量があるため普及に向けて改良」は逆。ヨウ素(I)はハロゲン(17族)であり、希ガス(18族)ではない。ヨウ素はイオン(I⁻)になりやすい元素。
- 誤り。OS(オペレーティングシステム)はソフトウェアであり、ハードウェアではない。富岳の1000万倍」という記述も現実的ではない。
- 正しい。
- 誤り。後半の感染症対策の説明が誤りである。「他の動物につくらせた抗原を含む血清」は誤り。血清療法では、他の動物などにつくらせた「抗体」を含む血清を投与する。さらに、「ドラッグ・ロス」は、高額療養費制度の見直しによって解消する問題ではない。ドラッグ・ロスは、日本で薬が開発・承認されない、あるいは導入されないことによる問題である。