我が国の社会を取り巻く状況などに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- SNS などを利用して特殊詐欺や強盗などの犯罪グループの参加者が募集される、いわゆる闇バイトは、募集を行った者と参加者が共同で犯罪の計画から実行までを行い、固定化されたメンバーによって、犯行が繰り返される点に特徴がある。我が国では、個人情報保護の観点から、SNS 利用者の投稿内容などの行動履歴をSNS 事業者が利用することは法律で禁じられていたが、政府は、闇バイトの増加を受け、令和6(2024)年4 月以降、事業者がバイト募集に関連する投稿に限って行動履歴を活用し、闇バイト募集の投稿を事業者自身で削除できることとした。
- 令和6(2024)年9 月の能登豪雨では、活発化した秋雨前線の影響で24 時間最大降水量が1,000 ミリを超え、統計開始以降最大の記録となった。この豪雨では、河川の氾濫や土石流などが発生し、同年1 月に発生した能登半島地震の際よりも全壊した住宅数は多く、奥能登地域の人口は、同年の1 年間で、他の地域への転出などにより約3 割減少した。秋雨前線とは、南から北上してきた暖かく湿潤な小笠原気団と、北の冷たく乾燥したシベリア気団との境目にできる停滞前線で、シベリア気団の寒気が前線に大量に流れ込むと、集中豪雨が起きやすくなる。
- 令和6(2024)年9 月、約60 年前に静岡県で一家4 人が殺害された事件で死刑が確定した男性の再審判決で、最高裁判所は、この男性に無罪を言い渡した。死刑が確定した事件の再審で無罪となるのは、戦後初めてであった。刑事裁判の判決の確定後に、有罪・無罪を問わず、事件の事実認定に合理的な疑いが出てきた場合に裁判をやり直す再審制度については、過去の最高裁判決において、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を再審に適用しないとされていることから、再審請求が認められるのは極めて狭き門となっている。
- 令和6(2024)年12 月、東京都が支援する、再生可能エネルギーを使って生産する「グリーン水素」のトライアル取引の入札が行われた。「グリーン水素」は再生可能エネルギー由来の電力を使って水を電気分解して作られた水素で、製造過程でも二酸化炭素を出さないことから脱炭素化につながるとされている。一方、天然ガスなどの化石燃料を使って作られた水素のうち、製造過程で二酸化炭素を大気中に放出する製法で作られた水素は、「グレー水素」と呼ばれる。
- 令和7(2025)年3 月、農林水産省は政府備蓄米を放出し入札を行った。これは、前年2 月には5 kg 当たり約4,000 円であった店頭でのコメの価格が、1 年後の2 月には8,000 円を超えるなど高騰したことを受けたもので、この放出によってコメの価格は、入札の翌月に約6,000円まで下落した。我が国は、コメを輸入自由化(関税化)していないが、世界貿易機関(WTO)農業協定により政府がミニマム・アクセス制度に基づき決められた量を義務的に輸入し、これを政府備蓄米として保管しており、今回の放出はこの輸入したコメを全量放出したものである。
正答 4
- 誤り。闇バイトは、犯罪組織がSNS等で実行役を募集し、匿名性の高い関係で犯罪を行わせるものである。「固定化されたメンバーによって犯行が繰り返される」というのは、従来型の暴力団などの組織犯罪の特徴であり、闇バイトの特徴ではない。またSNS事業者による行動履歴利用が法律で全面禁止されていたわけでもない。
- 誤り。 能登豪雨の降水量が誤りです。2024年9月の能登豪雨では甚大な被害が発生したが、「24時間最大降水量が1,000mmを超え、統計開始以来最大」という事実はない。また秋雨前線の説明も不正確。秋雨前線はシベリア気団と小笠原気団の境界であるが、集中豪雨は暖かく湿った空気の流入など複数要因で発生する。
- 誤り。 事件自体は袴田巌の再審無罪判決を指しているが、「最高裁判所が無罪を言い渡した」が誤り。2024年9月の再審判決は静岡地方裁判所によるもの。また「戦後初めて」も誤りで、死刑確定後に再審で無罪となった例は過去にもある。
- 正しい。グリーン水素は、太陽光・風力など再生可能エネルギーによる電力で水を電気分解して製造する水素である。製造時のCO₂排出がほぼないため脱炭素技術として注目されている。化石燃料由来でCO₂を排出するものはグレー水素と呼ばれる。
- 誤り。 政府備蓄米放出の説明が誤り。2025年の米価高騰対策で放出された政府備蓄米は、主に国内で備蓄されていた米である。WTOのミニマム・アクセス米(輸入米)を全量放出したものではない。また日本はコメを関税化しており、輸入を禁止しているわけではない。